昼下がり、スーパーからの帰り道、
加奈子と、その息子裕一は公園の脇道にさしかかった。
「ねぇ、あのおじいさんは、どうして泣いてるの?」
ふいに裕一が公園のベンチを指差して言った。
加奈子がそちらに視線を移すも、ベンチには誰もいない。
「裕ちゃん、何言ってるの? 誰もいないでしょ」
「えー、いるよう。ママ見えないの?」
加奈子は首をかしげながらしゃがみ改めて尋ねた。
「ねぇ、裕ちゃん、どんなおじいさんなの?」
裕一はベンチの方から目をはなすことなく答えた。
「あのね、白いおヒゲでね白い服でね… 泣いてるの… あ、こっち見たよ」
ギョッとしてベンチの方へ振り返る加奈子。
しかし、やはりベンチには誰もいなかった…
なんだか、気味が悪くなった加奈子は、
裕一の手をひいて、そそくさとその場を去った。
その日の晩