ひとりは良い嘘つき、ひとりは悪い正直者。
二人の意見は事あるごとに喰い違い、いがみあってばかり。
それなのに、なぜか二人はいつも一緒にいました。
ある日、突然の雨にふられ、二人は、
近くにあった家で雨宿りさせてもらう事にしました。
その家には不治の病いを患うおばあさんが一人で住んでいました。
良い嘘つきは言いました「大丈夫。すぐ治りますよ」
悪い正直者は言いました「治るもんか。すぐ死ぬよ」
良い嘘つきは言いました「きみは、なぜ悪い事ばかり言うんだ」
悪い正直者は言いました「おまえこそ、なぜ嘘ばかりつくんだ」
いがみあう二人の様子をしばらく見ていたおばあさん。
ニッコリ笑って、こう言いました。
「この病いは、伝染病なのよ」