日記という意味のまま書けば、毎日毎日「1日中仕事してた」で終わってしまう。
そんなわけで今後たまに子どもの頃の思い出でも書いてみようかなと思う。埋草的に。
子供の頃ってのは不思議な事があるもんだ。
“トトロは子どもの頃にしか見えない”的な事。
大人になった今思うと「そんなバカな」と思うんだけど
キッチリ記憶があるんだから仕方ない。
小学生の頃、たぶん秋か冬。
夜、ごはんを食べて、風呂に入って、
さぁ、寝るかと布団にもぐりこんだ。いつも通り。
しばらく、天井を眺めていたが、ちっとも眠くならないので、
体を横にして、えびのように背を丸め、
布団の中に顔をつっこんだ。
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すると…
真っ暗な布団の中、視界の真ん中に白い点が見える。
「ん? なんだ?」 白い点は少しずつ大きくなる。
大きくなるにしたがい只の点だったものの形が分かってきた。
「大きくなってきてるってより、近づいてきてるみたいだなぁ」
と思いながら、さらに目をこらしてみた。その時だ!
リンゴ程の大きさになったそれが、スイカくらいの大きさに、
一気に間合いを詰めてきたのだ。すぐ目の前! それは…
般若。
「ひゃあ!」反射的にバッと布団から顔を出した。
続けて体も布団から急いで出した。
なにがなんだかわからない。とにかく怖い。
…。
隣の部屋では姉と妹がキャッキャと談笑してた。
その声を聞いて、少しずつ心臓のバクバクが収まった。
布団はぼくが這い出た形で真っ黒な口をあけている。
勇気を出して布団をバッとめくってみた。
当然、何もなかった。
こんな不思議な体験をした。
「遠くから近づいてきてる」と感じていたが、
狭い布団の中、考えてみればそんなはずないんだよね…
気のせいと言えば、それまでだけど、ホントに気のせい?
小学生が般若の面に特別な思い入れなんてあるだろうか。
実際「般若の面」というものを知ったのはずっと後なんだよ。
般若は目の前で止まったわけじゃない。
間一髪で顔を上げたからぶつからなかっただけだ。
あの時、一瞬遅れてあの面が顔にぶつかっていたら、
いったいどうなっていたのだろう。ああ、恐ろしい。
こんな事があってから、
つっこむと真っ暗になってしまう分厚い掛け布団には、
顔をつっこまないようにしている。今も。