ついに…ついに、ファミコンがぼくのものに…アハハウフフ(脳内スローモーション)
・*:.。. .。.:*・゜゚・* (´ー`*)・*:.。. .。.:*・゜゚・*
と、ところがだ!!
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あるはずのファミコン本体が…
ない! ない! どこにも、なぁーーーーい!!
ファミコンがあった場所は女の子向けのファンシー文具に占拠されていた。
買われてしまったのかーーーー。ちっきしょーーーーい!!ヽ(`Д´。)ノ
ぼくが、悶絶していると、文具店のばぁちゃんが声をかけてきた。
ばぁ「どうしたんや?」
ぼく「あ、あの…ここにあったファミコンは売れてしまったんですか」
ばぁ「はみこん? ああ、あれか。人気だから置くとええよーちって言われて
置いてみたけど、ちっとも売れーへんから、倉庫に入れといたんだわ」
ぼく「……はぁ」
ばぁ「大きいから場所とるもんでなぁ…あれ、ほしいんかい?」
ぼく「ほしいです!ほしいです!ほしいです!」
ばぁ「ほんじゃ、ちょっと待っとりゃー よっこらしょ」
何も知らず裏の倉庫へ向かうばぁちゃん。
あるんだ! ヤッター!
おばあさん…ちっとも売れないのはファミコンに人気がないのではなく
林文具店に人気がないからですよ。でもそのおかげで…(*´ー`*)ウフフフ
帰ってきたばぁちゃんの手には夢にまで見たファミコン本体が!!
ぼくの鼻息はがぜん、荒くなった。
ばぁ「えーっと…これはいくらだ? あれま、14800円もするのか!
あんた、これ、買うのかい。お金は持ってきた?」
ぼく「持ってきました!」
14800円分の50円玉(296枚)を出させるわけにはいかないと
かぁちゃんが両替してくれた札をばぁーんとカルトンに叩き付けた。
もちろん、こんな大金で買物をするのもはじめて。
そういう意味でも、なんだか気分が良かった。
ばぁちゃんはなぜ正月でもないのに子どもがこんな大金を持ってるのか
少しいぶかしそうにしながらも受け取り、ファミコン本体を手渡してくれた。
うおおおおお!! 今日からこれがぼくのファミコン!!!
ぼくの喜びは頂点に達した! 文字通り、飛び上がった!
長かった…ほんとに長かった…_| ̄|○
よろこびいさんでケッタにくくりつけ、向かった先は家…ではなく、
当時の友人コーケッピの家。彼もファミコンを持ってなかったので、
自慢してやろーと思って!! ぬっふっふ。
ぼく「じゃーん!買ったぜー!!」
コー「うわーいーなー」
ぼく「だろー? 買いたてホヤホヤだぜ。うぇっへっへ」
コー「やろーよ、やろーよ!」
ぼく「よし! やろ… ハッ」
そこで肝心な事に気付いた。
ファミコン本体は買ったがカセットがないではないかッ!!
本体を買う事ばかりに躍起になっていて、カセットの事をすっかり忘れていた…
ぬぅぅ、なんてマヌケなんだ…
ファミコンを持ってないコーケッピだって、もちろんカセットは持ってない。
やべぇ。できねぇ。かっこつかねぇ。ぼくはごまかす事にした。
ぼく「あー…でも、やっぱ最初はじぶんちでやりたいから。エヘヘ」
コーケッピは残念そうだったが、その気持ちもワカル…という感じで納得してくれた。
当然カセットは何を買ったのか聞いてきたが、まだヒミツとかなんとか適当にごまかした…
ファミコン本体がありながら、いつも通り、マンガとか読みながらダラダラ過ごした。
そうしながらも「カセットかぁ…4900円だから…また100日くらいおやつなしか…」
などと考えて、ちょっと凹んでいた。子どもにとっては大問題だったんだよ。
しばらくすると、コーケッピのかぁちゃんが帰ってきた。
コー母「ただいま〜。あら、さくらい君、来てたの?」
ぼく「おじゃましてまーす」
コー母「ゆっくりしていってね。あ、そうだ。チョコ食べる?」
ぼく「ありがとうございます!」
ファミコン手に入れて、チョコまでもらえて今日はなんていい日なんだ
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と、ところがだ!!
この優しそうなコーケッピのかぁちゃんが、この後、
怒濤の展開を巻き起こす事を、この時のぼくは予想だにしていなかった。
つづく