ぼくはすっかり忘れてたんだけど、
中学生の頃「こっくりさん」が流行っていた。
休み時間ごとに、みんなで集まっては、
こっくりさんを呼び出して遊んでたらしいんだ。
「○○ちゃんの好きな子は誰ですか?」
「今度のテストにどんな問題が出ますか?」
調子にのって「絵を書いてください」なんつって
こっくりさんに絵を書かせたりもしてたらしい。
(その時は10円玉じゃなく鉛筆を使ってたみたい)
大ブームのこっくりさん。
むじゃきに盛り上がってたんだけど…
ある日の事。
やはり休み時間にこっくりさんをやっていた。
授業がはじまるチャイムが鳴りみんな慌てて、
自分の席に戻ったワケだ。いつもの日常風景。
次の授業は理科。担当の青木先生は
話し方や笑い方から“豪快”って言葉が
似合うような明るく気さくな先生だった。
ちょっと遅れてやってきた青木先生。
教室に入るやいなや、なぜかウッと顔をしかめた。
そして、いぶかしそうに室内を見回しはじめた。
生徒達が「何をしてるんだろう?」と不思議に思っていると
青木先生は突然、大声で生徒達に怒鳴った。
「お、おまえら、いったい何をしたんだ!?
部屋中に変なモンがウヨウヨしてるぞ!」(;`Д´)
えー(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)(°o°;)ーっ?
さらに先生は慌てた様子で教室中の窓と扉を全開にしはじめた。
(この場面はぼくもうっすら記憶に残ってた)
少し落ち着いた先生は「こっくりさんをやっていました…」と聞くと、
さらに声を荒げ、生徒達を叱りつけた。
「そういう事を面白半分にやっちゃダメだ!どうなっても知らんぞ!」
“こっくりさん禁止”
このルール、わりとよく聞く話だ。
でも、その理由は、多感な時期の偏った思い込みによって、
自己暗示にかかったり、集団ヒステリーを起こし、
人格形成に悪影響を及ぼす可能性がある。
そんな “現実的な被害” が考えられるからだ。
でも、この場合の「禁止の理由」は明らかにそれらとは違ってた。
なんせ「こっくりさんをやってた」という事実を知らない
青木先生が何かを見て「何をしたんだ」と尋ねたのだから。
つまり、
遊びのつもりのこっくりさんで本当に何かを呼び集めていた。
それも教室中にウヨウヨと。ゾッ((((;゚Д゚)))
…だから禁止。これ以上の説得力はないだろう。
そんなわけでこっくりさんブームは急降下。
誰もこっくりさんをやらなくなった。
いやー不思議な事があるもんだよ。
青木先生、今はその中学校の校長先生をしているらしい。